融資の担保には、不動産担保のほかに動産担保(ABL: Asset Based Lending)もあります。それぞれの特徴と、案件に応じた選び方を整理します。
不動産担保の特徴
不動産担保は、土地・建物に抵当権・根抵当権を設定する伝統的な担保形態です。価値の変動が比較的緩やかで、評価手法が確立されており、長期融資との親和性が高いのが特徴です。一方、流通性に欠ける物件は実行時の換価に時間を要します。
動産担保の特徴
動産担保は、在庫・売掛債権・機械設備など、事業に密接した資産を担保とする仕組みです。事業性融資との親和性が高く、不動産を保有しない事業者でも、事業実態に応じた借入が可能になります。一方で、価値の変動が速く、継続的なモニタリングが不可欠です。動産・売掛債権を担保とする際の対抗要件として、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(動産・債権譲渡特例法)に基づく動産譲渡登記・債権譲渡登記が用いられるのが一般的です。
選び方の判断基準
事業者の資産構成
不動産を中心に資産を保有する事業者には、不動産担保が安定的です。在庫・機械設備など事業性資産が中心の事業者には、動産担保の柔軟性が活きます。
融資期間
長期融資には不動産担保、短期・運転資金融資には動産担保が向いています。資産価値の変動スピードと、担保管理コストのバランスで判断します。
担保管理の体制
動産担保は、在庫数量・売掛回転率などの継続モニタリングが前提です。担保管理体制が整っていない場合、不動産担保のほうが実務負担は軽くなります。
併用の可能性
不動産担保と動産担保は、必ずしも択一ではありません。事業実態に応じて両者を組み合わせることで、より柔軟な融資設計が可能になります。さらに2026年5月25日に施行された事業性融資推進法(令和6年法律第52号)に基づく企業価値担保権により、無形資産を含む事業全体を担保とする選択肢も加わり、担保設計の幅が大きく広がっています。
データ起点での担保設計
取引先の保有不動産・担保設定状況・事業資産の規模感を、データで横断的に把握できる環境を整えることで、案件ごとに最適な担保設計の提案が可能になります。スピード・品質の両立が、競合との差別化につながります。





