導入背景
不動産に関わる営業活動において、アプローチ対象となる物件の所有者情報をいかに早く正確に揃えられるかは、新規開拓の成否を左右する要素のひとつです。
オフィスビルやマンションのエレベーター空間を活用した自社開発メディア「エレシネマ」「エレビ」を展開するGRAND株式会社。
同社の事業開発部では、アウトバウンドによる新規獲得のアプローチを強化するため、TRUSTART(トラスタート)が提供する不動産ビッグデータプラットフォーム「R.E.DATA(リデータ)」を導入しました。
同社がなぜ導入に至ったのか。導入前の課題や主な成果、今後の展望について、事業開発部 ユニットリーダーの土田様と、セールスアシスタントの守屋様(以下、敬称略)にお話を伺いました。
ご支援内容
不動産ビッグデータプラットフォーム「R.E.DATA(リデータ)」
導入前の状況
- 受注のメインがご紹介経由であり、オーナー様のコミュニティに属していない物件へはアプローチする手段がなかった
- 「この物件にご提案したい」と決めても、アプローチ対象となる物件の所有者情報が確認できず、動き出せなかった
- 営業組織の拡大に伴い、月に1,200件以上のアプローチリスト作成が発生していた
- 公的な登記取得サービスでの登記取得に1件3〜4分かかり、地番間違いや重複取得も起きがちだった
- アシスタントのメンバーがリスト作成業務に拘束され、資料作成や施工調整などのコア業務が後回しになっていた
- 公的なサービスは操作が難しく、リスト作成業務を他のメンバーに引き継ぐこともできなかった
- 登記の「全部事項」を取得しており、費用がかさんでいた
- 他社サービスも検討したが、ランニングコストが高額だった
導入後のサマリー
- 登記の種類を「所有者事項」へ最適化し、月約18万円の費用カットを実現
- 地図UIの活用で1件あたりの作業時間が約1分(最大4分の1)に短縮
- R.E.DATA導入から9か月で、アウトバウンド経由でのご導入が約200台に。ご紹介ルート外への新規開拓が成立
- 土地勘のない地方エリアでも所有関係を整理してエリアマップを作成でき、地方でのご提案が増加
- 名寄せ機能を活用し、商談前に対象オーナー様の関連物件を把握することで、提案の仮説を立てられるようになった
- 業務の標準化が進み、リスト作成業務をアルバイトスタッフ中心の運用体制へ移行。アシスタントのメンバーがコア業務に復帰し、問い合わせ返信や施工調整の対応速度が向上
- 希望の運用ルールに沿って柔軟に利用でき、他社比で約5分の1のコストで導入
月1,200件のアプローチリスト作成の作業時間が課題に
――まず、R.E.DATAを導入される前の背景や課題について教えてください。
土田
当社の受注は、これまでご紹介経由がメインでした。ほかに展示会経由もありますが、アウトバウンドによる新規開拓はごく一部にとどまっていました。
ただ、ご提案の対象になる物件の数は限られていますし、ビルオーナー様のコミュニティに属していらっしゃらないオーナー様には、ご紹介ではどうしてもアプローチできないんです。
そこで「アウトバウンドでも一定の成果は出る」という認識が社内で固まってきたタイミングで、営業組織の拡大とあわせて、新人や若手を中心にアウトバウンドを強化していこう、と。
月に1,200件以上のアプローチリストを定期的に確保して、チームで集中的にアプローチする運用を始めました。
――アウトバウンドを強化するうえで、課題になったのはどのような点でしたか。
土田
自社で設定したターゲット条件に合う物件を絞り込むところまでは、すぐにできます。
問題はその次でした。物件はわかっても、誰が所有しているのかがわからないんです。
「この物件にご提案に行きたい」と決まっても、所有者がわからなければ、ご連絡する相手がわかりません。
アプローチ対象となる物件の所有者情報を確認するための登記取得が、新規開拓の入口そのものになっていました。
――従来はどのように所有者情報を確認されていたのでしょうか。
守屋
公的な登記取得サービスを使って、一筆ずつ手作業で取得していました。
公的なサービスを使う場合、サイトを複数またぐ必要があり、今でも操作手順を覚えにくいと感じるほど硬い画面構成なんです。
1件の登記を取得してPDFを保存し、スプレッドシートに記入するまでに3〜4分はかかっていました。
地番を検索して、また戻ってきて。「建物の登記が欲しかったのに間違えて取ってしまった」といったことや、重複取得も結構ありました。
土田
1件あたり3〜4分でも、件数が積み上がると効いてきます。
月に1,200件を超えるリスト作成となると、アシスタントのメンバーのうち1名が、毎週の稼働時間の大半を使ってしまう状態でした。
アシスタントのメンバーには、資料の作成や施工会社様との調整、お客様との契約締結業務など、本来担ってほしいコア業務がたくさんあります。
業務量が増える中で、それらの業務により多くの時間を充てられる体制づくりが課題でした。
しかも公的なサービスは操作が難しいので、この業務を他のメンバーに引き継ぐこともできませんでした。
決め手はコストパフォーマンス。月18万円の削減も同時に実現
――R.E.DATAの導入を決めた理由は何だったのでしょうか。
土田
自社の希望する運用ルールに沿って柔軟に利用できる点と、コストパフォーマンスですね。
いくつか他社サービスも検討したのですが、ランニングコストが高額で、導入に踏み切れませんでした。
機能面はどちらのサービスも本当に使いやすかったので、最後の決め手はコストです。
その点R.E.DATAは、希望の運用ルールに沿って柔軟に利用でき、コストも他社と比べて約5分の1に抑えられました。「これはもう確定でTRUSTARTさんだな」と。
――社内の決裁は、どのように進められたのでしょうか。
土田
当社は堅苦しい稟議はないのですが、「これくらいのコストがこれくらいになります」「月18万円ほど下がります」という試算をお見せして。
あとは、この業務はアルバイトスタッフ中心の体制に移したい、という話をして押し通した記憶があります。
地図機能を実際に見せたら、社内でもめちゃくちゃ喜んでいましたね。決裁も非常にスムーズでした。
――コスト面について、導入にあたって見直された点はありますか。
土田
取得する登記の種類そのものを見直しました。以前は、権利関係まで載っている「全部事項」の登記を取得していたんです。
ですが、TRUSTARTさんから「営業のアプローチ用途であれば『所有者事項』で十分ですよ」とアドバイスをいただいたんです。所有者さえ分かれば良いのに、全部事項を取る必要はなかったんだと気づかされましたね。
システムのリプレースに伴い、取得内容を「所有者事項」に見直しました。月に1,200件以上を取得していますので、それだけで月間約18万円もの直接的なコスト削減につながっています。
すぐに習得できる操作性で、作業時間が4分の1に。チームの役割分担も最適化
――実際にR.E.DATAを導入されてから、現場の業務にはどのような変化がありましたか。
守屋
地図上から直感的に選ぶだけなので、操作が本当に簡単になりました。今まで3〜4分かかっていた作業が、今では1件あたり約1分で完了します。
以前の公的なサービスでは地番間違いや重複取得などのミスが起きがちでしたが、そういったストレスもなくなりました。
――操作の習得についてはいかがでしたか。
守屋
営業のメンバーから「登記を取って、リストを作成してほしい」と依頼が来て、一緒に一度やってみたら、もう次からは自分でできました。1日くらいですね。
土田
画面が見やすく誰でも扱いやすいUIのおかげで業務の標準化が進み、リスト作成業務をアルバイトスタッフ中心の運用体制へスムーズに移行することができました。
以前の公的なサービスは操作が難しく、そもそも引き継ぐことが難しかったので、ここは大きな変化でした。アシスタントのメンバーをこの業務から外すことができています。
チーム全体で適正な役割分担ができるようになったことで、人件費を含めた運用コストの最適化という面でも、大きな効果につながっています。
――リスト作成の効率化について、他に取り組まれていたことはありますか。
守屋
AIとかけ合わせて、人の手をどれだけ使わずにできるかという検証をしていました。
社内にエンジニアがいるので、「こういう形で一気に取得したい」と相談してツール化し、AIに投げて進めるということを試していたんです。
ただ、表記ゆれや誤った情報は最後に人が確認しないといけなくて。正直、人がやるのとAIでやるのとで、同じくらいの精度やスピード感だったんです。
ですので、R.E.DATAで物件リストをアップロードするだけで一括取得できると教えていただいて、それはぜひ取り入れたいなと思いました。
アウトバウンドで大型物件の受注に。紹介による案件創出にも寄与
――R.E.DATAの導入後、営業面での成果はいかがでしょうか。
土田
コスト削減はもちろん大きいのですが、営業面でも成果につながっています。規模の大きな物件のご導入がアウトバウンド経由で決まったりもしまして。そこは本当に良かったですね。
導入から9か月で、アウトバウンド経由でのご導入は約200台になりました。ご紹介ルートの外にも、確かに商機があったということです。
守屋
地方の物件の登記を取ってほしい、という依頼が明らかに増えたので、地方でのご提案が増えた印象があります。
土田
地方の開拓は、土地勘が全くないうえに、オーナー様の関係図も見えません。
そこで登記を取得して、「この物件はこのオーナー様」という所有関係の整理を営業内で行いました。エリアマップを作るうえで、本当にありがたかったです。
――作成されたエリアマップは、どのように活用されているのでしょうか。
土田
マップを見ながら、どなたにご提案するかを決めていきます。
しかも、アウトバウンドだけでなく、既存のお取引やネットワークを活かした新たなご縁につながるケースも増えています。
R.E.DATAの名寄せを活用することで、アポイントが取れたオーナー様が所有されている関連物件を事前に確認し、必要な登記情報まで把握したうえで商談に臨めるようになりました。
事前に物件情報を把握できることで、個々の物件について「この物件であれば、こういった活用ができるのではないか」と、物件ごとの課題や特性に合わせた仮説を立てられるようになりました。
さらに、オーナー様が保有されている不動産ポートフォリオ全体を把握することで、個々の物件だけではなく、会社としてどのような課題を抱えているのかという視点でもご提案を考えられるようになっています。
その結果、物件ごとの課題に合わせた具体的なご提案と、ポートフォリオ全体を踏まえたより広い視点での課題解決、その両面からお客様とお話しできるようになりました。
より有益な商談につながるだけでなく、お客様の課題に即したサービス活用ができるため、導入後の効果をより高めることにもつながっていると感じています。
――コスト以外の面では、どのような変化がありましたか。
土田
アシスタントのメンバーが本来注力すべきサポート業務に時間を使えるようになったことで、営業活動全体がよりスピーディーになりました。
お客様からのお問い合わせ対応や、施工会社様との各種調整業務にも、より迅速に対応できるようになりましたね。
守屋
営業組織が拡大し、実績に伴って仕事量もどんどん増えていた時期だったので、アシスタントのメンバーが本来のバックオフィス業務に集中できる環境が整ったのは、本当に助かりました。
定型業務を任せ、GRANDにしかできないことへ
――R.E.DATAは、どのような企業におすすめできるサービスだと感じますか。
土田
私たちのように、登記を日常的にたくさん取得される会社さんですね。
不動産業界で言えば、買取再販をされている会社さんや、仲介会社さん、ハウスメーカーさんは特に相性が良いのではないかと思います。
――今後、R.E.DATAをどのように活用していきたいとお考えですか。
土田
新しいエリアの開拓は今後もどんどん進めていきますので、営業戦略を立てるという点で引き続き活用していきます。
加えて、住宅系アセット——マンションへの展開も始めました。
マンションは賃貸なのか分譲なのかを調べるのに結構時間がかかるので、R.E.DATAの不動産検索機能をさらに使いこなしていきたいですね。
守屋
R.E.DATAに物件リストをアップロードするだけで一括取得できる方法など、まだまだ便利な機能を教えていただいたので、ぜひチーム全体での勉強会もお願いしたいです。
――最後に、これからのTRUSTARTに期待することを教えてください。
土田
仕組み化できる定型業務は積極的にお任せしながら、私たちはGRANDにしかできない価値提供に集中していきたいと思っています。
ですので、TRUSTARTさんには単なるツール提供にとどまらず、アプローチ先の詳細調査や、今後DMを行うのであればお手紙の印刷から封入、発送まで、お任せできる範囲が広がるとありがたいですね。
そういう使い方ができるようになると、必要なときに必要な分だけ力を借りられる、チームの一員のような立ち位置になっていただけたら、と個人的にはすごく思っています。
今後とも心強い伴走をよろしくお願いいたします。
お客様について
GRAND株式会社
https://office.tokyo-grand.jp/
事業内容:エレベーター空間を活用した自社開発メディア「エレシネマ」「エレビ」の開発・運営、メディア事業、ビルオーナー向け導入コンサルティング
東京都新宿区に本社を構えるメディア企業。オフィスビルやマンションのエレベーター空間を通じて、ニュースやビジネス情報の配信、管理会社からの情報発信を実施。空間の「体験価値」を高めることで、物件の資産価値向上に貢献している。
(取材/吉田 健太郎、田邊 亮太 文・編集/吉田 健太郎 撮影/賀谷 友紀)





