越境は、土地取引で見落とされがちなトラブルの種である。境界をまたぐ構築物の有無を確認し、覚書で将来の扱いを定めておくことが実務上の要点になる。
越境とは
越境とは、建物の庇(ひさし)や塀、擁壁、樹木の枝・根、配管などが、隣地との境界線を越えて他人の土地に入り込んでいる状態を指す。自分の構築物が隣地へ越境している場合と、隣地の構築物が自分の土地へ越境してくる場合がある。越境は所有権の侵害や将来の建て替え時の支障となるため、取引前の調査で必ず確認すべき事項である。
仕組み・背景
越境が存在すると、土地の利用や建て替えに制約が生じ、隣地所有者との紛争につながることがある。実務では、越境の事実を確認したうえで、「越境の覚書」を取り交わし、現状を許容しつつ将来の建て替え時には是正する旨を定めるのが一般的である。ただし覚書は当事者間の契約であり、不動産登記法3条が定める登記できる権利にあたらないため登記できない。したがって隣地の所有者が変われば、新しい所有者を当然には拘束しない。詳しくは越境の覚書の効力と調査での確認手順で解説している。
なお越境は、宅地建物取引業法35条1項が列挙する重要事項説明の事項には含まれていない。もっとも同法47条1号ニは、「現在若しくは将来の利用の制限」など相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなる事項について、故意に事実を告げない行為を禁じている。越境は物件の利用や建て替えに影響する事実であるから、これに該当しうる。信義則上の説明義務とあわせ、実務では説明すべき事項として扱われる。
実務での使われ方・調べ方
越境は現地調査と境界確認で把握する。実務では次を押さえる。
- 境界標を基準に構築物・樹木の越境の有無を確認する
- 越境の覚書の有無と内容(将来の是正合意)を確認する
- 越境が建て替え・担保評価に与える影響を検討する
関連用語
よくある質問
越境がある土地は取引できますか
取引自体は可能だが、越境の事実を確認し、覚書で将来の是正などを定めるのが一般的である。解消しないまま放置すると紛争や建て替え時の支障となる。
越境の覚書とは何ですか
越境の現状を双方が確認し、現状は許容しつつ将来の建て替え時に是正する旨などを定める書面である。取引の安全を確保するために取り交わされる。
R.E.DATAでの効率化
越境の調査では、対象地だけでなく隣接するすべての筆について、現在の所有権登記名義人を確認する必要がある。覚書の署名者と名義人が一致しなければ、その覚書はすでに当事者を失っている可能性があるためである。角地や不整形地では隣接筆が5筆、6筆に及ぶこともあり、一筆ずつ地番を調べて取得する作業は負担が大きい。
R.E.DATAは、ブルーマップと連携した地図上で対象地と隣接筆を選択し、登記簿をまとめてオンラインで取得できる。所有者名の一覧をエクセルに出力できるため、覚書の署名者との突き合わせもその場で完結する。詳しくは謄本取得業務の効率化を参照されたい。
WRITTEN BY
TRUSTART編集部
TRUSTART JOURNAL 編集部


