TRUSTART

第二種住居地域(だいにしゅじゅうきょちいき)

第二種住居地域は、住居系8区分のうち準住居地域に次いで用途の縛りが緩い用途地域です。住居の環境を主として保護しながら、住宅以外の用途を幅広く受け入れる、住宅地と沿道の商業地の中間にあたる区分です。建ぺい率は50・60・80%、絶対高さと北側斜線の制限はなく、高さは日影規制で決まります。定義と数値の骨格、隣り合う2区分との違い、調査で確認する順序を整理し、建物の名前で可否を引ける一覧を付けました。

調査・業務改善
公開: 2025/12/26更新: 2026/09/01
· 9 min read
不動産会社向け#不動産調査
第二種住居地域

第二種住居地域は、第一種住居地域では建てられなかったパチンコ・スロットなどの遊技場とカラオケボックスなどの娯楽施設に道が開く地域です。規模の枠も広がりますが、「3,000㎡が10,000㎡になる」という理解は正確ではありません。枠が掛かる用途の範囲そのものが入れ替わります。

第二種住居地域とは

第二種住居地域とは、都市計画法9条6項に基づく用途地域のひとつで、主として住居の環境を保護するために定める地域です。第一種住居地域(同条5項)が「住居の環境を保護するため」であるのに対し、6項には「主として」が付きます。「主として」の有無が一種と二種を分ける語です。住居以外の用途が一定量入る前提の地域、ということになります。第一種住居地域が非住宅用途の総量に枠を掛けるのに対し、この地域は枠を掛ける用途のほうを名指しで絞ります。後述する10,000㎡は、名指しされた用途にしか掛からない枠です。

街の姿でいえば、幹線道路沿いに帯状に指定され、ロードサイドの店舗・事務所・宿泊施設とマンションが並ぶ街です。ただし住居系で用途の縛りがいちばん緩いのは準住居地域で、この地域はそのひとつ手前です。

建てられる建物・建てられない建物

建築基準法48条6項は「第二種住居地域内においては、別表第2(へ)項に掲げる建築物は、建築してはならない」と定めます。許可列挙ではなく禁止列挙なので、列挙にない用途は原則として建てられます。列挙された用途も特定行政庁の特例許可を受ければ例外があります(48条6項ただし書・15項・16項)。

第二種住居地域内に建築してはならない建築物
1号(と)項3号・4号と(り)項を引用する形の禁止(中身は下の箇条書き)
2号原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が50㎡を超えるもの
3号劇場・映画館・演芸場・観覧場、ナイトクラブなどの興行施設(ナイトクラブ等は施行令130条の7の3)。規模を問わず
4号自動車車庫で床面積の合計が300㎡を超えるものまたは3階以上の部分にあるもの(建築物に附属するもので政令で定めるもの・都市計画として決定されたものを除く)
5号倉庫業を営む倉庫
6号「店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるもの」に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が10,000㎡を超えるもの

1号が引く先は次の3つです。

  • (と)項3号 — メッキ、印刷用インキの製造など業種で名指しされた事業((一)〜(十六))を営む工場(政令で定めるものを除く=施行令130条の8の3)
  • (と)項4号危険物の貯蔵・処理に供するもので政令で定めるもの(施行令130条の9。(と)項4号経由なので同条の表は「準住居地域」欄で読む)
  • (り)項 — キャバレー・料理店などの接待飲食施設、個室付浴場業に係る公衆浴場など、および(り)項1号が引く(ぬ)項・(る)項の業種で名指しされた工場と危険物

実務で効くのは6号の分母です。数えるのは6号が名指しする用途(上表)と施行令130条の8の2第1項の場外勝舟投票券発売所の「その用途に供する部分の床面積の合計」だけで、事務所・宿泊施設・自動車教習所に床面積の上限はありません。いっぽう(ほ)項4号にある「政令で定めるものを除く」(施行令130条の7の2)が6号にはなく、10,000㎡は政令による除外のない上限です。

「遊技場」は6号が名指しする条文の語ですが、建築基準法にも施行令にも定義がありません。国土交通省が示す用途制限の一覧では、麻雀屋・パチンコ屋・場外車券場等もカラオケボックス等も、この地域では「10,000㎡以下」として整理されています。条文が名指ししていないカラオケボックスも、行政実務では6号の枠内で扱われているということです(条文上の定義ではありません)。解禁は無制限という意味ではなく、当てはめは特定行政庁の判断になります。10,000㎡に近い計画では事前に確認してください。

建ぺい率・容積率・高さ制限

項目第二種住居地域根拠
建蔽率50・60・80%のいずれか建築基準法53条1項2号
容積率100・150・200・300・400・500%のいずれか同52条1項2号
前面道路による容積率幅員12m未満のとき幅員(m)×4/10(指定区域は6/10)。道路が2以上あるときは最大の幅員で読む同52条2項柱書・2号
絶対高さ制限なし(対象は低層住居専用2地域と田園住居地域のみ)同55条1項
外壁の後退距離なし(対象は同上)同54条1項
道路斜線かかる。勾配1.25、適用距離は容積率に応じ20m(200%以下)〜35m(400%超)同56条1項1号・別表第3一の項
隣地斜線かかる。立ち上がり20m・勾配1.25同56条1項2号イ
北側斜線かからない(対象は低層住居専用2地域・田園住居地域・中高層住居専用2地域のみ)同56条1項3号
日影規制条例で指定された区域で高さ10m超が対象。測定面は平均地盤面から4mまたは6.5m同56条の2第1項・別表第4三の項

住居系で建蔽率80%が指定されうるのは第一種住居・第二種住居・準住居の3区分だけです(53条1項2号)。この指定値には上乗せがあり、特定行政庁が指定する角地等で10分の1、防火地域内の耐火建築物等でさらに10分の1、両方に当たれば最大10分の2が加算されます(53条3項1号・2号)。さらに80%が指定された地域の防火地域内の耐火建築物等では、建蔽率の制限そのものが適用されません(53条6項1号)。

高さは北側斜線がない分、日影規制が主役になります。なお容積率400%・500%の区域には高層住居誘導地区が定められることがあり、その場合は容積率・建蔽率とも都市計画で定められた別の限度で読みます(52条1項5号・57条の5第1項)。

他の用途地域との違い

隣り合う第一種住居地域準住居地域に挟んで並べます。

第一種住居第二種住居準住居
規模の枠が掛かる用途
(その用途に供する部分の床面積の合計)
(は)項に掲げる建築物以外の用途全般に3,000㎡((ほ)項4号)(へ)項6号が名指しする店舗・飲食店・展示場・遊技場等のみ10,000㎡(と)項6号の名指しする用途に10,000㎡
事務所・宿泊施設いずれも3,000㎡の枠内上限なし上限なし
遊技場・娯楽施設
(パチンコ・スロット、カラオケボックスなど)
不可((ほ)項2号・3号)(遊技場に当たるものは行政実務で10,000㎡以下)同左
興行施設(劇場・映画館など)不可((ほ)項1号が(へ)項3号を引く)規模を問わず不可((へ)項3号)客席等200㎡未満なら可((と)項5号)
物流倉庫(倉庫業を営むもの)不可不可((へ)項5号)号がなく可
単独の自動車車庫300㎡以下かつ3階以上の部分にないもの同左((へ)項4号)車庫の号がなく、面積・階数の制限が掛からない

第一種住居地域との差は数値ではなく用途です。建蔽率50・60・80%も容積率も斜線も日影も、3区分とも同じ号で読みます。3,000㎡が非住宅用途のほぼ全部に及ぶのに対し10,000㎡は名指しされた用途にしか掛からないので、枠の数字だけを見比べても実際の余地はわかりません。逆に用途の縛りがいちばん緩いのは準住居地域で、幹線道路沿いの用地では興行施設と単独の自動車車庫の差が計画の可否を分けます。13区分の並びは用途地域13種類の比較で確認できます。

調査で確認すること

用途地域は都市計画図で読み取れますが、そこで確定するのは区分の名前までです。次の順に潰します。

  1. 予定用途が(へ)項1号の引用先に入っていないか — 接待飲食施設、個室付浴場業に係る公衆浴場、危険物、業種で名指しされた工場は(へ)項に名前が出ないまま禁止される
  2. 2号〜5号に名指しされていないか — 興行施設(3号)と倉庫業を営む倉庫(5号)は規模を問わず不可。工場は原動機を使用し作業場の床面積の合計50㎡超で不可(2号)
  3. 10,000㎡の枠(6号)に入る用途か — 名指しされた用途だけが分母で、「遊技場」への該当は条文では確定できず特定行政庁の判断
  4. 自動車車庫の位置づけ — 4号のかっこ書は車庫そのものを4号から外す。附属で施行令130条の8の枠内なら適用外(3階以上に置くと同条のかっこ書で枠から落ち、上限は300㎡と延べ面積連動の枠の大きいほう)。都市計画として決定された車庫も適用外で、面積・階数とも制限がない。それ以外は300㎡以下かつ3階以上の部分にないものだけ
  5. 建蔽率・容積率の指定値と、防火地域・角地の指定 — 80%指定かつ防火地域内の耐火建築物等なら制限自体が適用されない(53条6項1号)
  6. 条例と告示に当たる項目 — 日影規制の対象区域と号、高度地区の高さの最高限度(58条1項)、斜線の緩和指定は都市計画図では確定しない。対象区域外でも冬至日に対象区域内へ日影を落とせば対象とみなされる(56条の2第4項)
  7. 敷地が用途地域の境界にかかっていないか — 用途の制限は敷地の過半が属する地域による(91条)。ただし52条、53条、54条から56条の2まで、57条の2、57条の3、67条1項・2項ならびに別表第3は同条の対象から除かれ、過半では処理できない

代表的な建物

建物の名前で引ける一覧です。○=建てられる/△=規模や条件つき/×=建てられない(×も特例許可を受けた場合は例外があります)。面積はその用途に供する部分の床面積の合計です。

建物可否条件・根拠
コンビニ店舗として(へ)項6号の10,000㎡の枠内
スーパー・ドラッグストア同じく6号の枠内。10,000㎡超は不可(6号には政令による除外がない)
飲食店コンビニと同じ((へ)項6号)
事務所(へ)項に列挙がなく、床面積の上限なし
ホテル・旅館同上(第一種住居地域の3,000㎡の枠から外れます)
マンション(共同住宅)(へ)項に列挙なし
戸建て住宅同上
保育所同上(老人ホーム・福祉ホームも同じ)
小中学校同上(大学・高等専門学校・専修学校も同じ)
病院・診療所同上
カラオケボックスなどの娯楽施設(へ)項6号に名指しはないが、国土交通省の用途制限の一覧は10,000㎡以下として整理。該当性は特定行政庁の判断
パチンコ・スロットなどの遊技場第一種住居地域の(ほ)項2号にあたる名指しの禁止がなく建てられます。国交省の用途制限一覧表は10,000㎡以下と整理((へ)項6号の「遊技場」に当たるものとする行政実務の取扱い。条文上の定義ではありません)
コインパーキング(単独の自動車車庫)(へ)項4号。300㎡以下かつ3階以上の部分にないもの、または都市計画として決定されたものに限る(屋根も柱もない平面駐車場は建築物に当たらず、用途制限の対象外)
物流倉庫(倉庫業を営むもの)×(へ)項5号。規模を問わず(倉庫業を営まない自社倉庫は該当しません)
工場原動機を使用し作業場の床面積の合計50㎡超は不可((へ)項2号)。加えて(へ)項1号が引く(と)項3号・(り)項が業種で名指しする事業(メッキ等)は面積・原動機を問わず不可

参考(一次情報)

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)9条6項(定義)、9条5項・7項(対照)、9条17項(高層住居誘導地区)、8条3項2号ト(高度地区)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)48条6項・15項・16項、52条1項2号・5号・2項、53条1項2号・3項・6項1号、54条1項、55条1項、56条1項1号〜3号、56条の2第1項・4項、57条の5第1項、58条1項、91条、別表第2(は)(ほ)(へ)(と)の各項と(へ)項1号が引く(と)(り)(ぬ)(る)の各項、別表第3一の項、別表第4三の項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)130条の7の3((へ)項3号)、130条の8((へ)項4号)、130条の8の2第1項((へ)項6号)、130条の8の3((と)項3号)、130条の9((と)項4号)、130条の7の2((ほ)項4号。(へ)項6号には対応する除外規定がありません)
  • 都市計画制度の概要(国土交通省都市局)所収の「用途地域内の建築物の用途制限の概要」 — 麻雀屋・パチンコ屋・場外車券場等およびカラオケボックス等を、第二種住居地域で10,000㎡以下と整理した行政実務上の取扱い。条文上の定義ではありません

条文はe-Gov法令検索の現行条文を2026年9月1日時点で確認しました。建蔽率・容積率・日影規制の具体的な数値、斜線制限の緩和指定、高層住居誘導地区・高度地区・防火地域の指定の有無は、都市計画および地方公共団体の条例で地域ごとに定められます。用途制限には48条6項ただし書の特例許可が、斜線制限・日影規制には特定行政庁の許可等による適用除外や緩和があります。「遊技場」など個別用途の当てはめは特定行政庁の判断によります。必ず当該自治体の都市計画図および条例をご確認ください。

TRUSTART編集部

WRITTEN BY

TRUSTART編集部

TRUSTART JOURNAL 編集部

用語集トップへ戻る

関連する用語