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第一種住居地域(だいいっしゅじゅうきょちいき)

第一種住居地域は、住居系8区分のなかで「住居専用」の名が外れる最初の用途地域です。住宅の環境を守りながら、住宅以外の用途も一定の規模までは受け入れる、住宅側と商業側の境目にあたる区分です。建ぺい率は50・60・80%、絶対高さと北側斜線の制限はなく、高さは日影規制で決まります。定義と数値の骨格、隣り合う2区分との違い、調査で確認する順序を整理し、建物の名前で可否を引ける一覧を付けました。

調査・業務改善
公開: 2025/08/15更新: 2026/09/01
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不動産会社向け#不動産調査
第一種住居地域

第一種住居地域は、住居系8区分のなかで「住居専用」の名が外れる最初の地域です。住宅以外の用途に道が開きますが、その総量には合計3,000㎡の枠がかかり、パチンコ・スロットなどの遊技場とカラオケボックスなどの娯楽施設は規模を問わず建てられません

第一種住居地域とは

第一種住居地域とは、都市計画法9条5項に基づく用途地域のひとつで、住居の環境を保護するために定める地域です。第二種中高層住居専用地域(同条4項)が「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境」、第二種住居地域(同条6項)が「主として住居の環境」であるのに対し、5項には「良好な」も「〜住宅に係る」も「主として」も付きません。専用地域が用途そのものを絞り込むのに対し、この地域は用途ではなく規模で線を引きます。後述する3,000㎡の枠はここから来ています。

街の姿でいえば、駅前や幹線道路沿いで、マンションと中規模の店舗・事務所・宿泊施設が混ざる住宅地です。13区分のなかで住宅側と商業側の境目にあたる区分です。

建てられる建物・建てられない建物

建築基準法48条5項は「第一種住居地域内においては、別表第2(ほ)項に掲げる建築物は、建築してはならない」と定めます。許可列挙ではなく禁止列挙なので、列挙にない用途は原則として建てられます。列挙された用途も特定行政庁の特例許可を受ければ例外があります(48条5項ただし書・15項・16項)。

第一種住居地域内に建築してはならない建築物
1号用途を自分では書かず、(へ)項1号〜5号を引用する形の禁止(中身は下の箇条書き)
2号「マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの」=パチンコ・スロットなどの遊技場や公営競技の場外発売所
3号カラオケボックスその他これに類するもの」=カラオケボックスなどの娯楽施設
4号(は)項に掲げる建築物以外の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡を超えるもの(政令で定めるものを除く=施行令130条の7の2)

1号の中身は次の5つです。

  • 倉庫業を営む倉庫
  • 床面積の合計300㎡超または3階以上にある自動車車庫(政令で定める附属自動車車庫・都市計画決定されたものを除く)
  • 劇場・映画館・演芸場・観覧場、ナイトクラブなどの興行施設
  • 原動機を使用し作業場の床面積の合計が50㎡を超える工場
  • (へ)項1号がさらに引く(と)項3号・4号と(り)項 — 業種で名指しされた事業を営む工場、危険物、キャバレー・料理店など

実務で効くのは4号の分母です。数えるのは「(は)項に掲げる建築物以外の用途に供する部分」だけで、住宅・共同住宅・学校・病院・保育所、500㎡以内の店舗(施行令130条の5の3の業種)、300㎡以内の車庫は入りません。ただし(は)項5号・6号の「三階以上の部分をその用途に供するものを除く」により、3階以上に置いた店舗・車庫は(は)項から外れて算入されます。

工場は面積ではなく業種で見てください。(へ)項2号が禁じるのは原動機を使用し作業場50㎡超のものですが、(と)項3号などが業種で名指しする事業(メッキ、印刷用インキの製造など)は、面積を絞っても原動機を使わなくても不可です。

建ぺい率・容積率・高さ制限

項目第一種住居地域根拠
建蔽率50・60・80%のいずれか建築基準法53条1項2号
容積率100・150・200・300・400・500%のいずれか同52条1項2号
前面道路による容積率幅員12m未満のとき幅員(m)×4/10(指定区域は6/10)。道路が2以上あるときは最大の幅員で読む同52条2項柱書・2号
絶対高さ制限なし(対象は低層住居専用2地域と田園住居地域のみ)同55条1項
外壁の後退距離なし(対象は同上)同54条1項
道路斜線かかる。勾配1.25、適用距離は容積率に応じ20m(200%以下)〜35m(400%超)同56条1項1号・別表第3一の項
隣地斜線かかる。立ち上がり20m・勾配1.25同56条1項2号イ
北側斜線かからない(対象は低層住居専用2地域・田園住居地域・中高層住居専用2地域のみ)同56条1項3号
日影規制条例で指定された区域で高さ10m超が対象。測定面は平均地盤面から4mまたは6.5m同56条の2第1項・別表第4三の項

住居系で建蔽率80%が現れるのはここからで、階数を積まなくても低層側に広く取れます。この指定値には上乗せがあり、特定行政庁が指定する角地等で10分の1、防火地域内の耐火建築物等でさらに10分の1、両方に当たれば最大10分の2が加算されます(53条3項1号・2号)。さらに80%が指定された地域の防火地域内の耐火建築物等では、建蔽率の制限そのものが適用されません(53条6項1号)。

高さは北側斜線がない分、日影規制が主役になります。なお容積率400%・500%の区域には高層住居誘導地区が定められることがあり、その場合は容積率・建蔽率とも都市計画で定められた別の限度で読みます(52条1項5号・57条の5第1項)。

他の用途地域との違い

隣り合う第二種中高層住居専用地域第二種住居地域に挟んで並べます。

第二種中高層住居専用第一種住居第二種住居
非住宅用途の規模
(その用途に供する部分の床面積の合計)
1,500㎡((に)項8号)3,000㎡((ほ)項4号)(へ)項6号が名指しする店舗・飲食店・展示場・遊技場等のみ10,000㎡
事務所・ホテル事務所は枠内/ホテルは不可いずれも3,000㎡の枠内上限なし
3階以上の非住宅用途不可((に)項7号)可(自動車車庫を除く)可(同左)
遊技場・娯楽施設
(パチンコ・スロット、カラオケボックスなど)
不可不可((ほ)項2号・3号)
建蔽率30・40・50・60%50・60・80%50・60・80%
北側斜線かかる(日影の条例指定区域を除く)かからないかからない

第二種中高層住居専用地域との差は規模と高さが同時に緩むこと、第二種住居地域との差は数値ではなく用途です(建蔽率・容積率・斜線・日影の数値は同じ)。「3,000㎡が10,000㎡になる」という理解は正確ではありません。第一種住居の3,000㎡が非住宅用途のほぼ全部に及ぶのに対し、第二種住居の10,000㎡は名指しされた用途にしか掛からないからです。13区分の並びは用途地域13種類の比較で確認できます。

調査で確認すること

用途地域は都市計画図で読み取れますが、そこで確定するのは区分の名前までです。次の順に潰します。

  1. 一種か二種か — 遊技場・娯楽施設(パチンコ・スロット、カラオケボックスなど)の可否と、規模の枠が掛かる用途の範囲が変わる
  2. 非住宅用途の床面積の合計 — (は)項以外の用途に供する部分で3,000㎡。3階以上に置いた店舗・車庫も算入される(附属の自動車車庫は施行令130条の7の2第3号・4号の条件を満たせば枠外)
  3. 予定用途が(ほ)項1号の引用先に入っていないか — とくに工場は業種で名指しされているものがあり、規模を絞っても解決しない
  4. 建蔽率・容積率の指定値と、防火地域・角地の指定
  5. 条例と告示に当たる項目 — 日影規制の対象区域と号の指定、高度地区の高さの最高限度、斜線制限の緩和指定は都市計画図では確定しない。対象区域外の建築物でも、冬至日に対象区域内へ日影を落とせば対象とみなされる(56条の2第4項)
  6. 敷地が用途地域の境界にかかっていないか — 用途の制限は敷地の過半が属する地域の規定によるが(91条)、建蔽率・容積率・斜線・日影は同条の適用対象から除かれ、過半では処理できない

代表的な建物

建物の名前で引ける一覧です。○=建てられる/△=規模や条件つき/×=建てられない(×も特例許可を受けた場合は例外があります)。根拠欄の(へ)項の号は(ほ)項1号が引用しているもので、面積はその用途に供する部分の床面積の合計です。

建物可否条件・根拠
コンビニ500㎡以内で3階以上に置かなければ(は)項5号(施行令130条の5の3)。3,000㎡に算入しない
スーパー・ドラッグストア500㎡を超えると(は)項から外れ、床面積の全部が3,000㎡に算入
飲食店コンビニと同じ((は)項5号)
事務所(は)項に事務所の号がなく、全部が3,000㎡に算入((ほ)項4号)
ホテル・旅館禁止の名指しはないが3,000㎡の枠内((ほ)項4号)
マンション(共同住宅)(は)項1号。3,000㎡に算入せず床面積の上限なし
戸建て住宅(は)項1号。同上
保育所(は)項1号(老人ホーム・福祉ホームも同じ)
小中学校(は)項1号(大学・高等専門学校・専修学校は(は)項2号)
病院・診療所病院は(は)項3号、診療所は(は)項1号
カラオケボックスなどの娯楽施設×(ほ)項3号「カラオケボックスその他これに類するもの」。規模を問わず
パチンコ・スロットなどの遊技場×(ほ)項2号(条文の語は「ぱちんこ屋…その他これらに類するもの」)。規模を問わず
コインパーキング(単独の自動車車庫)(へ)項4号。300㎡以下かつ3階以上に置かないもの、または都市計画として決定されたものに限る(屋根も柱もない平面駐車場は建築物に当たらず、用途制限の対象外)
倉庫(倉庫業を営むもの)×(へ)項5号。規模を問わず
工場原動機を使用し作業場50㎡超は不可((へ)項2号)。加えて(と)項3号などが業種で名指しする事業(メッキ、印刷用インキの製造など)は面積・原動機を問わず不可

参考(一次情報)

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)9条5項(定義)、9条4項・6項(対照)、9条17項(高層住居誘導地区)、8条3項2号ト(高度地区)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)48条5項・15項・16項、52条1項2号・5号・2項、53条1項2号・3項・6項1号、54条1項、55条1項、56条1項1号〜3号、56条の2第1項・4項、57条の5第1項、58条1項、91条、別表第2(い)(は)(に)(ほ)(へ)の各項と(ほ)項1号が引く(と)(り)の各項、別表第3一の項、別表第4二の項・三の項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)130条の5の3((は)項5号)、130条の7の2((ほ)項4号)

条文はe-Gov法令検索の現行条文を2026年9月1日時点で確認しました。建蔽率・容積率・日影規制の具体的な数値、斜線制限の緩和指定、高層住居誘導地区・高度地区・防火地域の指定の有無は、都市計画および地方公共団体の条例で地域ごとに定められます。用途制限には48条5項ただし書の特例許可が、斜線制限・日影規制には特定行政庁の許可等による適用除外や緩和があります。必ず当該自治体の都市計画図および条例をご確認ください。

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