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第二種中高層住居専用地域(だいにしゅちゅうこうそうじゅうきょせんようちいき)

第二種中高層住居専用地域は、用途規制が「建てられるものの列挙」から「建てられないものの列挙」へ反転する最初の用途地域です。中高層住宅を主役としつつ、名指しで禁じられていない用途を規模と階の枠内で受け入れる区分です。建ぺい率は30〜60%、容積率は100〜500%、絶対高さと外壁後退の制限はなく、高さは斜線制限と日影規制で決まります。定義と数値の骨格、隣り合う2区分との違いを整理し、建物の名前で可否を引ける一覧を付けました。

調査・業務改善
公開: 2025/06/27更新: 2026/09/01
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不動産会社向け#不動産調査
第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域は、住居系のなかで独立した事務所が建てられるようになる最初の区分です。第一種中高層住居専用地域までの「列挙されたものしか建たない」枠が外れる一方、ホテル・旅館や自動車教習所のように名指しで禁じられ、規模を絞っても建てられない用途が残ります。

第二種中高層住居専用地域とは

第二種中高層住居専用地域とは、都市計画法9条4項に基づく用途地域のひとつで、主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域です。第一種中高層住居専用地域の定義(同条3項)との差は「主として」の3文字だけで、同条は第二種低層住居専用地域(2項)・第二種住居地域(6項)も同じ書き分けをしています。「主として」が付く区分は、保護の対象以外の用途がある程度入ることを前提にしているということです。その「ある程度」の中身が、次に見る別表第2(に)項7号・8号の枠にあたります。

街の姿でいえば、中層のマンションが並び、その1階・2階に事務所や中規模の店舗が入る住宅地です。数値の指定は第一種中高層と同じで、変わるのは入れられる用途だけです。

建てられる建物・建てられない建物

建築基準法48条4項は「第二種中高層住居専用地域内においては、別表第2(に)項に掲げる建築物は、建築してはならない」と定めます。禁止列挙なので列挙にない用途は原則として建てられます。第一種中高層の48条3項は「(は)項に掲げる建築物以外の建築物は」で、向きを決めるのは別表の側ではなく48条各項の「以外」の2文字です。列挙された用途も特定行政庁の特例許可を受ければ例外があります(48条4項ただし書・15項・16項)。

第二種中高層住居専用地域内に建築してはならない建築物
1号用途を自分では書かず、他の項を引用する形の禁止(中身は下の箇条書き)
2号工場(政令で定めるものを除く=施行令130条の6)
3号政令で定める運動施設(ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類するもの。施行令130条の6の2はスキー場・ゴルフ練習場・バッティング練習場を加えます)
4号ホテルまたは旅館
5号自動車教習所
6号政令で定める規模の畜舎
7号3階以上の部分を(は)項に掲げる建築物以外の用途に供するもの(政令で定めるものを除く)
8号(は)項に掲げる建築物以外の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡を超えるもの(政令で定めるものを除く)

1号が引くのは次の6か所です。(に)項の文面に名前が出ないまま禁止される用途があるのが、この区分の読みにくさです。

  • (ほ)項2号・3号 — 「マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの」=パチンコ・スロットなどの遊技場や公営競技の場外発売所と、「カラオケボックスその他これに類するもの」=カラオケボックスなどの娯楽施設
  • (へ)項3号 — 劇場・映画館・演芸場・観覧場、ナイトクラブなどの興行施設
  • (へ)項4号 — 自動車車庫で床面積の合計が300㎡を超えるもの、または3階以上の部分にあるもの(建築物に附属するもので政令で定めるもの=施行令130条の8、または都市計画として決定されたものを除く)
  • (へ)項5号倉庫業を営む倉庫(倉庫業の登録がない自社倉庫は当たりません)
  • (と)項4号 — 危険物の貯蔵・処理に供するもので政令で定めるもの(数量は施行令130条の9第1項の表の「準住居地域」欄)
  • (り)項2号・3号 — キャバレー・料理店などの接待飲食施設、個室付浴場業に係る公衆浴場等

読む順序は「まず7号・8号で枠を確かめ、次に1号から6号の名指しを外す」です。ホテル・旅館、自動車教習所、運動施設は枠の内側でも建てられません。工場(2号)も、施行令130条の6が外す小規模な食品製造業(要件は後掲の一覧)から外れれば同じです。

用途の幅が広がるのは7号・8号の裏返しによります。1号から6号に名指しされておらず、3階以上の部分をその用途に供さず(7号)、その用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡以下(8号)であれば、(は)項に列挙のない用途でも建てられます。第一種中高層では規模を問わず不可だった独立した事務所が、ここで建てられるようになります。分母は建築物全体の延べ面積ではなく「その用途に供する部分の床面積の合計」で、延べ面積5,000㎡の共同住宅でも事務所部分が1,200㎡なら触れません。7号・8号にも「政令で定めるものを除く」とありますが、現行の法令にこれを受ける規定は置かれていません(e-Gov法令検索の全法令横断検索で確認。施行令が(に)項について政令を定めているのは2号・3号・6号です)。

枠の外側にいられるかは「(は)項に掲げる建築物」かどうかで決まり、その境目が附属建築物です。(は)項8号「前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く)」を受ける施行令130条の5の5が、床面積の合計が3,000㎡(同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く)の延べ面積の合計が3,000㎡以下の場合は、その延べ面積の合計)を超える自動車車庫(1号)と3階以上の部分にある自動車車庫(3号)を(は)項から外します。外れた車庫には(に)項8号の1,500㎡と7号の3階以上不可が直接かかるため、附属駐車場の実効上限は3,000㎡と当該延べ面積の合計の小さいほう、かつ2階以下で、第一種中高層と同じ数値です(違いは、(へ)項4号の「300㎡超・3階以上」を外すために施行令130条の8が追加で要る点だけ)。なお130条の5の5は、同一敷地内にある工作物の附属駐車場の築造面積も合算して判定します(築造面積300㎡以下のときは合算しません)。

建ぺい率・容積率・高さ制限

項目第二種中高層住居専用地域根拠
建蔽率30・40・50・60%のいずれか建築基準法53条1項1号
容積率100・150・200・300・400・500%のいずれか同52条1項2号
前面道路による容積率幅員12m未満のとき幅員(m)×4/10(指定区域は6/10)。道路が2以上あるときは最大の幅員で読む同52条2項柱書・2号
絶対高さ制限なし(対象は低層住居専用2地域と田園住居地域のみ)同55条1項
外壁の後退距離なし(対象は同上)同54条1項
道路斜線かかる。勾配1.25、適用距離は容積率に応じ20m(200%以下)〜35m(400%超)同56条1項1号・別表第3一の項
隣地斜線かかる。立ち上がり20m・勾配1.25同56条1項2号イ
北側斜線かかる。真北方向の水平距離×1.25+10mただし日影規制の条例で別表第4二の項の(一)(二)(三)の号が指定された区域は除かれる同56条1項3号およびかっこ書
日影規制条例で指定された区域で高さ10m超が対象。測定面は平均地盤面から4mまたは6.5m同56条の2第1項・別表第4二の項

建蔽率の指定値は低層住居専用地域と同じ30〜60%です(53条1項1号が両者を同じ号にまとめています)。この指定値には上乗せがあり、防火地域内の耐火建築物等(準防火地域内では準耐火建築物等も対象)で10分の1、特定行政庁が指定する角地等でさらに10分の1、両方で最大10分の2が加算されます(53条3項1号・2号)。30%が50%になる差です。なお制限そのものが外れる53条6項1号は限度が10分の8とされている地域に限られるため、この地域には及びません。

容積率が500%まで伸びても建築面積の上限は変わらないので、容積を使い切るには階数を積むしかありません。その階数を縛るのが斜線と日影です。上表のとおり、日影規制の条例指定区域では北側斜線が適用されません(56条1項3号かっこ書)。「中高層住専だから北側斜線がある」と一律に当てはめると、建てられるはずのボリュームを自分で削ることになります。

他の用途地域との違い

隣り合う第一種中高層住居専用地域第一種住居地域に挟んで並べます。

第一種中高層住居専用第二種中高層住居専用第一種住居
条文の向き許可列挙((は)項)禁止列挙((に)項)禁止列挙((ほ)項)
非住宅用途の規模
(その用途に供する部分の床面積の合計)
店舗・飲食店が500㎡以内((は)項5号)。事務所など号のない用途は不可(は)項に掲げる建築物以外の用途に1,500㎡((に)項8号)同じ枠で3,000㎡((ほ)項4号)
3階以上に置ける用途(は)項の号に当たるもの。店舗・車庫は不可同左。(は)項以外の用途は一律不可((に)項7号)(3階以上の店舗・車庫は(は)項から外れ3,000㎡に算入)
独立した事務所不可(兼用住宅の枠内のみ)(1,500㎡・2階以下の枠内)可(3,000㎡の枠内)
ホテル・旅館不可((は)項に号がない)不可((に)項4号で名指し)(3,000㎡の枠内)
建蔽率/容積率30〜60%/100〜500%同左50・60・80%/100〜500%
北側斜線かかる(+10m。日影の条例指定区域を除く)同左かからない

第一種中高層住居専用地域との差は数値ではなく条文の向きです(建蔽率・容積率・斜線・日影は同じ号で読みます)。第一種住居地域との差は逆で、向きは同じ禁止列挙のまま枠が3,000㎡に広がり、3階以上の制限とホテル・旅館の名指しが消え、建蔽率に80%が現れます緩む中身は段ごとに違います。13区分の並びは用途地域13種類の比較で確認できます。

調査で確認すること

用途地域は都市計画図で読み取れますが、そこで確定するのは区分の名前までです。次の順に潰します。

  1. 一種か二種か — 中高層住専は2区分とも数値が同じで、変わるのは用途の読み方だけ。独立した事務所の可否がここで決まる
  2. 予定用途が(に)項1号から6号に名指しされていないか — 名指しがあれば枠の内側でも不可。1号は他の項を引いており、300㎡超の自動車車庫と倉庫業を営む倉庫は(に)項の文面に出てこない
  3. 非住宅用途の階と床面積 — 3階以上の部分をその用途に供していないか(7号)、その用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡以下か(8号)
  4. 附属自動車車庫をどの規定で読むか — (へ)項4号の「300㎡超・3階以上」は施行令130条の8で外れるが、(は)項8号の政令(施行令130条の5の5)の枠を超えると「(は)項以外」に落ちて(に)項7号・8号が直接かかる(上限は3,000㎡と当該延べ面積の合計の小さいほう、かつ2階以下)
  5. 日影規制の条例指定区域か — (一)(二)(三)のどれかが指定されていれば北側斜線は適用されない(56条1項3号かっこ書)。逆に対象区域外でも、高さ10m超で冬至日に対象区域内へ日影を落とせば対象とみなされる(56条の2第4項)
  6. 建蔽率・容積率の指定値と、防火地域・準防火地域・角地の指定 — 53条3項の加算で30%が50%になることがある
  7. 高度地区の指定と、敷地が用途地域の境界にかかっていないか — 高さの最高限度が定められていれば、55条の絶対高さがなくてもその限度がかかる(58条1項)。用途の制限は敷地の過半が属する地域による(91条)が、建蔽率・容積率・斜線・日影(52条、53条、54条から56条の2まで等)は同条の対象から除かれる

代表的な建物

建物の名前で引ける一覧です。○=建てられる/△=規模や条件つき/×=建てられない(×も特例許可を受けた場合は例外があります)。(に)項に名指しがなければ「2階以下・1,500㎡以下」の枠内で建てられます。面積はその用途に供する部分の床面積の合計です。

建物可否条件・根拠
コンビニ500㎡以内で3階以上に置かなければ(は)項5号(施行令130条の5の3)。1,500㎡の枠に算入しない
スーパー・ドラッグストア500㎡を超えると(は)項から外れ、床面積の全部が1,500㎡の枠に算入(あわせて2階以下)
飲食店コンビニと同じ((は)項5号)
事務所(は)項に事務所の号はないが(に)項の名指しもない。1,500㎡以下・2階以下の枠内((に)項7号・8号)
ホテル・旅館×(に)項4号「ホテル又は旅館」。規模を問わず
マンション(共同住宅)(は)項1号((い)項3号)。枠に算入せず床面積の上限なし
戸建て住宅(は)項1号((い)項1号)
保育所(は)項1号((い)項6号。老人ホーム・福祉ホームも同じ)
小中学校(は)項1号((い)項4号)。大学・高等専門学校・専修学校は(は)項2号
病院・診療所病院は(は)項3号、診療所は(は)項1号((い)項8号)
カラオケボックスなどの娯楽施設×(に)項1号が引く(ほ)項3号「カラオケボックスその他これに類するもの」。規模を問わず
パチンコ・スロットなどの遊技場×(に)項1号が引く(ほ)項2号(条文の語は「マージャン屋、ぱちんこ屋…その他これらに類するもの」)。規模を問わず
コインパーキング(単独の自動車車庫)(は)項6号の300㎡以内かつ3階以上に置かないもの、または都市計画として決定されたものに限る。超えると(に)項1号が引く(へ)項4号で不可(屋根も柱もない平面駐車場は建築物に当たらず用途制限の対象外)
物流倉庫(倉庫業を営むもの)×(に)項1号が引く(へ)項5号「倉庫業を営む倉庫」。規模を問わず倉庫業の登録がない自社倉庫は名指しがなく、1,500㎡以下・2階以下の枠内
工場(に)項2号で原則不可。例外は施行令130条の6のパン屋・米屋・豆腐屋・菓子屋その他これらに類する食品製造業で作業場の床面積の合計50㎡以内(原動機を使用する場合は出力の合計0.75kW以下に限る)だけ。(と)項3号(二の二)原動機を使用する魚肉の練製品の製造・(四の四)糖衣機を使用する製品の製造に当たるものは、この例外から外れて不可。例外に当たる場合も(は)項の建築物ではないため1,500㎡以下・2階以下の枠内

参考(一次情報)

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)9条4項(定義)、9条2項・3項・6項(対照)、8条3項2号ト(高度地区)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)48条3項・4項・15項・16項、52条1項2号・2項、53条1項1号・3項・6項1号、54条1項、55条1項、56条1項1号〜3号およびかっこ書、56条の2第1項・4項、58条1項、91条、別表第2(い)(は)(に)の各項と(に)項1号が引く(ほ)(へ)(と)(り)の各項、別表第3一の項、別表第4二の項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)130条の5の3((は)項5号)、130条の5の5((は)項8号)、130条の6((に)項2号)、130条の6の2((に)項3号)、130条の8((へ)項4号)、130条の9第1項((と)項4号の危険物。用途地域欄は準住居・商業・準工業)

条文はe-Gov法令検索の現行条文を2026年9月1日時点で確認しました。建蔽率・容積率・日影規制の具体的な数値、斜線制限の緩和指定、高度地区・防火地域・準防火地域の指定の有無は、都市計画および地方公共団体の条例で地域ごとに定められます。用途制限には48条4項ただし書の特例許可が、斜線制限・日影規制には特定行政庁の許可等による適用除外や緩和があります。必ず当該自治体の都市計画図および条例をご確認ください。

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