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第一種中高層住居専用地域(だいいっしゅちゅうこうそうじゅうきょせんようちいき)

第一種中高層住居専用地域は、住居系8区分のうち低層住居専用地域2区分の次に位置する用途地域です。建てられる用途を住宅と生活利便施設に列挙で限る、マンション用地の中心となる区分です。建ぺい率は30〜60%、容積率は100〜500%、絶対高さと外壁後退の制限はなく、高さは斜線制限と日影規制で決まります。定義と数値の骨格、隣り合う2区分との違い、調査の順序を整理し、建物の名前で可否を引ける一覧を付けました。

調査・業務改善
公開: 2026/03/19更新: 2026/09/01
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不動産会社向け#不動産調査
第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域は、住居系のなかでマンションが主役になる最初の区分です。低層住居専用地域を縛っていた絶対高さと外壁の後退距離が外れる一方、建てられるのは列挙された用途だけで、独立した事務所もホテルも建てられません

第一種中高層住居専用地域とは

第一種中高層住居専用地域とは、都市計画法9条3項に基づく用途地域のひとつで、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域です。低層住宅を対象とする第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域(同条1項・2項)に対し、3項は「中高層住宅に係る」と書かれています。保護の対象が低層から中高層に移った分、高さの上限が外れ、容積率の指定幅が500%まで伸びます。いっぽう「良好な」が付く点は低層住専と同じで、用途を絞り込む姿勢そのものは変わりません。

街の姿でいえば、駅から少し離れた住宅地に中層のマンションが並び、その足元に小規模な店舗、そして病院や大学が混じる街です。専用地域なので、建てられるものが列挙され、列挙にないものは建たないという構造が続きます。

建てられる建物・建てられない建物

建築基準法48条3項は「第一種中高層住居専用地域内においては、別表第2(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない」と定めます。禁止列挙ではなく許可列挙で、列挙にない用途は原則として建てられません。第一種住居地域以降の「(ほ)項に掲げる建築物は、建築してはならない」とは向きが逆です。ただし特定行政庁の特例許可を受ければ例外があります(48条3項ただし書・15項・16項)。

第一種中高層住居専用地域内に建築することができる建築物
1号(い)項1号から9号までに掲げるもの(住宅、兼用住宅、共同住宅・寄宿舎・下宿、学校(大学等を除く)・図書館等、神社・寺院・教会等、老人ホーム・保育所・福祉ホーム等、公衆浴場、診療所、巡査派出所等)
2号大学、高等専門学校、専修学校その他これらに類するもの
3号病院
4号老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの
5号店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるもの(施行令130条の5の3)で、その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内のもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く)
6号自動車車庫で床面積の合計が300㎡以内のもの、または都市計画として決定されたもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く)
7号公益上必要な建築物で政令で定めるもの(施行令130条の5の4=税務署、警察署、保健所、消防署等)
8号前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く=施行令130条の5の5)

低層住専では建てられなかった大学・専門学校と病院が、ここで初めて建てられます(2号・3号)。

実務で効くのは事務所の扱いです。(は)項に事務所の号はなく、規模の大小にかかわらず独立した事務所は建てられません。5号の政令(施行令130条の5の3)にある銀行の支店、損害保険代理店、宅地建物取引業を営む店舗はあくまで「店舗」で、5号の条件(500㎡以内・3階以上の部分をその用途に供しない)が付きます。事務所を置けるのは、1号経由の(い)項2号の兼用住宅(施行令130条の3。延べ面積の2分の1以上が居住用で、事務所等の用途に供する部分の床面積の合計が50㎡以下)の枠内だけです。

もうひとつ、8号のかっこ書です。施行令130条の5の5は、床面積の合計が3,000㎡(同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く)の延べ面積の合計が3,000㎡以下の場合は、その延べ面積の合計)を超える自動車車庫3階以上の部分にある自動車車庫を8号から外します。附属駐車場の実効上限は3,000㎡と当該延べ面積の合計の小さいほう、かつ2階以下です(延べ面積2,000㎡のマンションなら附属車庫も2,000㎡まで)。なお同号は、同一敷地内に工作物としての附属駐車場がある場合はその築造面積も合算して判定します(築造面積300㎡以下のときは合算しません)。単独の車庫を読む6号(300㎡以内)とは別の号で、どちらで読むかで結論が変わります。

建ぺい率・容積率・高さ制限

項目第一種中高層住居専用地域根拠
建蔽率30・40・50・60%のいずれか建築基準法53条1項1号
容積率100・150・200・300・400・500%のいずれか同52条1項2号
前面道路による容積率幅員12m未満のとき幅員(m)×4/10(指定区域は6/10)。道路が2以上あるときは最大の幅員で読む同52条2項柱書・2号
絶対高さ制限なし(対象は低層住居専用2地域と田園住居地域のみ)同55条1項
外壁の後退距離なし(対象は同上)同54条1項
道路斜線かかる。勾配1.25、適用距離は容積率に応じ20m(200%以下)〜35m(400%超)同56条1項1号・別表第3一の項
隣地斜線かかる。立ち上がり20m・勾配1.25同56条1項2号イ
北側斜線かかる。真北方向の水平距離×1.25+10mただし日影規制の条例で別表第4二の項の(一)(二)(三)の号が指定された区域は除かれる同56条1項3号およびかっこ書
日影規制条例で指定された区域で高さ10m超が対象。測定面は平均地盤面から4mまたは6.5m同56条の2第1項・別表第4二の項

建蔽率は低層住居専用地域と同じ30〜60%です。容積率が500%まで伸びても建築面積の上限は変わらず、容積を使い切るには階数を積むしかありません。指定値には上乗せがあり、防火地域内の耐火建築物等(準防火地域内では準耐火建築物等も対象)で10分の1、特定行政庁が指定する角地等でさらに10分の1、両方で最大10分の2が加算されます(53条3項1号・2号)。30%が50%になる差です。なお制限そのものが外れる53条6項1号は限度が10分の8の地域に限られるため、この地域には及びません。

高さは北側斜線と日影規制のどちらが効くかが先に決まります。上表のとおり、日影規制の条例指定区域では北側斜線が適用されません(56条1項3号かっこ書)。「中高層住専だから北側斜線がある」と一律に当てはめると、建てられるはずのボリュームを自分で削ることになります。

他の用途地域との違い

隣り合う第二種低層住居専用地域第二種中高層住居専用地域に挟んで並べます。

第二種低層住居専用第一種中高層住居専用第二種中高層住居専用
条文の向き許可列挙((ろ)項)許可列挙((は)項)禁止列挙((に)項)
大学・病院不可((は)項2号・3号)
店舗の規模
(その用途に供する部分の床面積の合計)
150㎡以内((ろ)項2号)500㎡以内((は)項5号)(は)項に掲げる建築物以外の用途に1,500㎡((に)項8号)
独立した事務所不可(兼用住宅の枠内のみ)不可(同左)(1,500㎡かつ3階以上に置かない枠内)
建蔽率/容積率30〜60%/50〜200%30〜60%/100〜500%同左
絶対高さ・外壁後退あり(10mまたは12m・55条1項/54条1項)なしなし
北側斜線かかる(+5m)かかる(+10m。日影の条例指定区域を除く)同左

第二種低層住居専用地域との差は高さと規模が同時に緩むことです。絶対高さと外壁後退が外れ、容積率の上限が200%から500%に伸び、大学と病院が加わります。いっぽう建蔽率の30〜60%だけは低層住専と同じままです。

第二種中高層住居専用地域との差は数値ではなく条文の向きです(建蔽率・容積率・斜線・日影は同じ号で読みます)。(は)項の列挙にないものが一律に建たない第一種に対し、第二種では(に)項1号から6号までの名指しを外れていれば1,500㎡・3階未満の枠内で建てられます事務所の可否はここで入れ替わります。13区分の並びは用途地域13種類の比較で確認できます。

調査で確認すること

用途地域は都市計画図で読み取れますが、そこで確定するのは区分の名前までです。次の順に潰します。

  1. 一種か二種か — 中高層住専は2区分とも数値が同じで、変わるのは用途の読み方だけ。独立した事務所の可否がここで決まる
  2. 予定用途が(は)項の8つの号のどれかに当たるか — 当たらなければ規模を絞っても建たない。ホテル・旅館、工場、倉庫、遊技場・娯楽施設は号そのものがない
  3. 店舗の面積と階 — 5号は「その用途に供する部分の床面積の合計」500㎡以内で、かつ3階以上の部分をその用途に供しないこと。どちらか一方でも外れると(は)項から落ちる
  4. 自動車車庫をどの号で読むか — 単独は6号(300㎡以内、または都市計画として決定されたもの。3階以上不可)、附属は8号(施行令130条の5の5。3,000㎡と当該延べ面積の合計の小さいほう、かつ2階以下)
  5. 日影規制の条例指定区域か — 別表第4二の項の(一)(二)(三)のどれかが指定されていれば北側斜線は適用されない(56条1項3号かっこ書)。逆に対象区域外の建築物でも、高さ10m超で冬至日に対象区域内へ日影を落とせば対象とみなされる(56条の2第4項)
  6. 建蔽率・容積率の指定値と、防火地域・準防火地域・角地の指定 — 53条3項の加算で30%が50%になることがある
  7. 高度地区の指定と、敷地が用途地域の境界にかかっていないか — 高さの最高限度が定められていれば、55条の絶対高さがなくてもその限度がかかる(58条1項)。用途の制限は敷地の過半が属する地域による(91条)が、建蔽率・容積率・斜線・日影(52条、53条、54条から56条の2まで等)は同条の対象から除かれ、過半では処理できない

代表的な建物

建物の名前で引ける一覧です。○=建てられる/△=規模や条件つき/×=建てられない(×も特例許可を受けた場合は例外があります)。許可列挙なので、(は)項に号がないものは規模を問わず×です。面積はその用途に供する部分の床面積の合計です。

建物可否条件・根拠
コンビニ(は)項5号(施行令130条の5の3)。500㎡以内かつ3階以上の部分をその用途に供しないこと
スーパー・ドラッグストア同じく5号。500㎡を超えると(は)項のどの号にも当たらず不可
飲食店コンビニと同じ((は)項5号)
事務所×(は)項に事務所の号がない。兼用住宅(施行令130条の3。延べ面積の2分の1以上が居住用、事務所等の部分の床面積の合計50㎡以下)の枠内のみ。銀行の支店・損害保険代理店・宅地建物取引業を営む「店舗」は5号で500㎡以内可
ホテル・旅館×(は)項に号がない。規模を問わず
マンション(共同住宅)(は)項1号((い)項3号)。床面積の上限なし
戸建て住宅(は)項1号((い)項1号)
保育所(は)項1号((い)項6号。老人ホーム・福祉ホームも同じ)
小中学校(は)項1号((い)項4号)。大学・高等専門学校・専修学校は(は)項2号
病院・診療所病院は(は)項3号、診療所は(は)項1号((い)項8号)
カラオケボックスなどの娯楽施設×(は)項に号がない。規模を問わず
パチンコ・スロットなどの遊技場×(は)項に号がない。規模を問わず
コインパーキング(単独の自動車車庫)(は)項6号。300㎡以内かつ3階以上の部分をその用途に供しないもの、または都市計画として決定されたものに限る(屋根も柱もない平面駐車場は建築物に当たらず用途制限の対象外)
物流倉庫(倉庫業を営むもの)×(は)項に号がない。倉庫業を営むかどうかを問わず、独立した倉庫は建てられません(附属の倉庫は8号の枠内)
工場×(は)項に工場の号がない。ただしパン屋・菓子屋など自家販売のための食品製造業は、作業場の床面積の合計50㎡以内(原動機を使用する場合はその出力の合計0.75kW以下)であれば「店舗」として5号の枠内(施行令130条の5の3)

参考(一次情報)

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)9条3項(定義)、9条1項・2項(対照)、8条3項2号ト(高度地区)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)48条3項・15項・16項、52条1項1号・2号・2項、53条1項1号・3項・6項1号、54条1項、55条1項、56条1項1号〜3号およびかっこ書、56条の2第1項・4項、58条1項、91条、別表第2(い)(ろ)(は)(に)の各項、別表第3一の項、別表第4二の項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)130条の3((い)項2号の兼用住宅)、130条の5の2第4号(自家販売の食品製造業の作業場50㎡以内・原動機0.75kW以下)、130条の5の3((は)項5号)、130条の5の4((は)項7号)、130条の5の5((は)項8号)

条文はe-Gov法令検索の現行条文を2026年9月1日時点で確認しました。建蔽率・容積率・日影規制の具体的な数値、斜線制限の緩和指定、高度地区・防火地域・準防火地域の指定の有無は、都市計画および地方公共団体の条例で地域ごとに定められます。用途制限には48条3項ただし書の特例許可が、斜線制限・日影規制には特定行政庁の許可等による適用除外や緩和があります。必ず当該自治体の都市計画図および条例をご確認ください。

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