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準工業地域(じゅんこうぎょうちいき)

準工業地域は、工業系3区分の入口にあたる用途地域です。建てられない建築物として挙がるのは業種で名指しされた工場と危険物、個室付浴場だけで、床面積の枠が一つも掛かりません。建ぺい率は50・60・80%、容積率は100〜500%で、日影規制はかかり、絶対高さ制限と北側斜線はかかりません。定義と数値の骨格、隣り合う2区分との違い、調査で確認する順序を整理し、建物の名前で可否を引ける一覧を付けました。

調査・業務改善
公開: 2026/01/15更新: 2026/09/02
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不動産会社向け#不動産調査
準工業地域

準工業地域は、13区分でもっとも用途の幅が広い区分です。建てられない建築物の列挙は三つの号で終わり、床面積の枠も階数の制限もありません。住宅も商業施設も工場も、規模を問わず同じ街区に建ちます。

準工業地域とは

準工業地域とは、都市計画法9条11項に基づく用途地域のひとつで、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するために定める地域です。工業地域(同条12項)と工業専用地域(同条13項)が「工業の利便を増進するため」とだけ書くのに対し、11項は増進する対象である工業の側に「環境の悪化をもたらすおそれのない」という限定を付けています。住環境を守ると書く条文ではなく、集める工業のほうを絞る条文です。

街の姿でいえば、幹線道路や鉄道の沿線で、町工場や倉庫のあいだにマンションと商業施設が混じるエリアです。

建てられる建物・建てられない建物

建築基準法48条11項は「準工業地域内においては、別表第2(る)項に掲げる建築物は、建築してはならない」と定めます。禁止列挙なので列挙にない用途は原則として建てられ、列挙された用途も特例許可を受ければ例外があります(48条11項ただし書・15項・16項)。そのただし書の基準は「環境」や「利便」を害さないかではなく、「安全上若しくは防火上の危険の度若しくは衛生上の有害の度が低い」かどうかです。

準工業地域内に建築してはならない建築物
1号業種を名指しした事業を営む工場(政令で定めるものを除く)
2号危険物の貯蔵・処理に供するもので政令で定めるもの(施行令130条の9が準工業地域の欄で危険物ごとに数量を定める)
3号個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの

列挙はここで終わります。床面積の枠も階数の制限もなく、商業地域の(ぬ)項2号にあたる原動機を使用する工場の面積制限もありません。住宅・店舗・事務所・ホテル・学校・病院・遊技場は規模を問いません。

工場は面積でも原動機でもなく業種で見てください。1号は火薬類の製造、セメントの製造、石綿を含有する製品の製造などを名指しし、末尾の号が危険の度・有害の度の高い事業を政令に委ねる受け皿になっています。

建ぺい率・容積率・高さ制限

項目準工業地域根拠(建築基準法)
建蔽率50・60・80%のいずれか53条1項2号
容積率100・150・200・300・400・500%のいずれか(前面道路12m未満なら幅員(m)×6/10。指定区域は4/10または8/10)52条1項2号・2項3号
絶対高さ制限/外壁の後退距離/北側斜線いずれもかからない(前2つは低層住居専用2地域と田園住居地域のみ、北側斜線はこれに中高層住居専用2地域を加えた地域のみが対象)55条1項・54条1項・56条1項3号
道路斜線/隣地斜線どちらもかかる(道路は勾配1.5、隣地は立ち上がり31m・勾配2.5)56条1項1号・2号ロ・別表第3三の項
日影規制かかる。条例で指定された区域で高さ10m超が対象。測定面は平均地盤面から4mまたは6.5m56条の2第1項・別表第4三の項
高層住居誘導地区定められる(容積率400%・500%の区域)。住宅部分が延べ面積の3分の2以上の建築物は、容積率の上限を指定値からVr=3Vc/(3−R)までの範囲で都市計画に定める(3分の2で約1.29倍)52条1項5号・施行令135条の14

建蔽率は80%の指定のときだけ扱いが変わります防火地域内の耐火建築物等は制限そのものが適用されず(53条6項1号)、3項1号のかっこ書「十分の八とされている地域を除く」で防火地域による10分の1の加算も外れます。ただしかっこ書は防火地域の側にしか掛かっておらず、準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等は80%指定でも加算を受けられます。角地等の加算(3項2号)も別に効きます。

他の用途地域との違い

商業地域工業地域に挟んで並べます。

商業準工業工業
原動機を使用する工場作業場150㎡超は不可((ぬ)項2号)面積の制限なし面積の制限なし
個室付浴場業に係る公衆浴場可(13区分で唯一)不可((る)項3号)不可((を)項1号が(る)項3号を引用)
ホテル・旅館/学校/病院不可((を)項2号・5号・6号)
店舗・飲食店・遊技場枠なし枠なし10,000㎡超は不可((を)項7号)
建蔽率/容積率80%固定/200〜1300%50・60・80%/100〜500%50・60%/100〜400%
日影規制かからないかかるかからない

商業地域とは工場と個室付浴場で扱いが逆になり、工業地域との差は住宅系・商業系の用途が残るかどうかです。13区分の並びは用途地域13種類の比較で確認できます。

調査で確認すること

都市計画図で確定するのは区分の名前までです。

  1. 建蔽率が80%かどうか — 80%のときだけ防火地域内の耐火建築物等で制限そのものが外れる(53条6項1号)。角地等・準防火地域の加算(同3項)も見る
  2. 容積率の指定値と前面道路12m未満なら幅員(m)×6/10が同時に掛かり、小さいほうが上限(52条2項3号)
  3. 予定する工場の業種 — 面積でも原動機でもなく(る)項1号の名指しで決まる
  4. 危険物は数量で判定する — 施行令130条の9の表の準工業地域の欄で読む。数量の定めがないものは数量を問わない
  5. 日影規制の対象区域と号の指定 — 条例が別表第四三の項の範囲で指定する。対象区域外でも冬至日に対象区域内へ日影を落とせば対象とみなされる(56条の2第4項)
  6. 敷地が境界にかかっていないか — 用途の制限は敷地の過半による(91条)が、建蔽率・容積率・斜線・日影は除かれる

代表的な建物

建物の名前で引ける一覧です。○=建てられる/△=規模や条件つき/×=建てられない(×も特例許可を受けた場合は例外があります)。(る)項は禁止列挙なので列挙にない用途は○です。

建物可否条件・根拠
コンビニ(る)項に列挙なし。床面積・階数の制限なし
スーパー・ドラッグストア同上。規模の上限なし
飲食店同上。キャバレー・料理店などの接待飲食施設も列挙になく可
事務所同上
ホテル・旅館同上(不可になるのは工業地域から。(を)項2号)
マンション(共同住宅)同上
戸建て住宅同上
保育所同上
小中学校同上(不可になるのは工業地域から。(を)項5号)
病院・診療所同上(病院が不可になるのは工業地域から。(を)項6号)
カラオケボックスなどの娯楽施設同上。規模を問わず
パチンコ・スロットなどの遊技場同上。規模を問わず
コインパーキング(単独の自動車車庫)同上(屋根も柱もない平面駐車場は建築物に当たらず、用途制限の対象外)
物流倉庫(倉庫業を営むもの)同上
工場面積・原動機による制限はない。(る)項1号が業種で名指しする事業(火薬類の製造、セメントの製造、石綿を含有する製品の製造など)は規模を問わず不可

参考(一次情報)

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)9条11項(定義)、9条12項・13項(対照)、9条17項(高層住居誘導地区)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)48条11項・15項・16項、52条1項2号・5号・2項3号、53条1項2号・3項・6項1号、54条1項、55条1項、56条1項1号〜3号、56条の2第1項・4項、91条、別表第2(ぬ)(る)(を)の各項、別表第3三の項、別表第4三の項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)130条の9(危険物の貯蔵又は処理に供する建築物)、135条の14(高層住居誘導地区内の建築物の容積率の上限の算出方法)

条文はe-Gov法令検索の現行条文を2026年9月2日時点で確認しました。建蔽率・容積率・日影規制の具体的な数値、斜線制限の緩和指定、高層住居誘導地区・高度地区・防火地域・準防火地域の指定の有無は、都市計画および地方公共団体の条例で定められます。用途制限には48条11項ただし書の特例許可が、斜線制限・日影規制には特定行政庁の許可等による適用除外や緩和があります。必ず当該自治体の都市計画図および条例をご確認ください。

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