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建築計画概要書とは|記載内容・取得方法と主要12自治体の対応状況一覧

建築計画概要書は建築確認の内容を誰でも閲覧できる公開書類です。3面構成の記載内容、台帳記載事項証明書との決定的な違い(台帳には第三面が入らないため図面が出ない)、主要12自治体の手数料・保存起点・電子閲覧の対応状況、概要書がない場合の代替手段まで、条文と各自治体の公式情報にもとづいて整理します。

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不動産会社向けハウツー#不動産調査#デューデリジェンス
建築計画概要書とは|記載内容・取得方法と主要12自治体の対応状況一覧

中古物件の調査で「この建物はどのような計画で建築確認を通したのか」を確かめる最初の一歩が、建築計画概要書の閲覧です。「建築概要書」「概要書」と略されることも多い書類ですが、正式名称は建築計画概要書。建築確認申請の際に提出され、利害関係の有無を問わず誰でも閲覧できる、数少ない建築関係の公文書です。

ところが実務では、この書類ほど自治体によって扱いが違うものもありません。写しの手数料は10円から300円まで30倍の開きがあり、課金の単位すら「1通」「1件」「1枚」と揃っていません。何年以前の分が存在しないかという保存起点も、自治体によって28年ぶれます。本記事では、記載内容と取得の実務に加えて、主要12自治体の対応状況を一覧で整理し、混同されやすい台帳記載事項証明書との違いまで、公的ソースと条文に基づいて解説します。

この記事の要点

誰でも閲覧できる
建築基準法93条の2により、特定行政庁は閲覧請求に応じる義務がある。条文は請求権者を限定しておらず、利害関係も委任状も不要とする自治体が多い。閲覧自体は、確認できた範囲ではいずれも無料(北九州市など公式サイトで確認できなかった自治体もあります)。
台帳証明との決定的な差
台帳には概要書の第三面(付近見取図・配置図)が取り込まれない(施行規則6条の3)。つまり台帳記載事項証明書では図面が出ない
自治体差が大きい
写しは10円〜300円で課金単位もばらばら。保存起点は昭和46年〜平成11年度と28年の幅。本記事で調べた12自治体のうち、自宅から閲覧できるのは3つだけ

建築計画概要書とは — 誰でも閲覧できる建築確認の記録

建築計画概要書は、建築確認申請書に添付して提出される、建築計画の要点をまとめた書類です。特定行政庁は建築基準法93条の2に基づき、閲覧の請求があった場合にこれを閲覧させなければならないと定められており、利害関係の有無を問わず誰でも請求できます。大阪府のように「どなたでも請求できるため委任状は不要」と明示する自治体もあります。

この公開制度の趣旨は、周辺住民の協力のもとで違反建築物を未然に防止し、あわせて違反建築物の売買を防ぐこと(福岡県)、そして善意の買主が無確認建築物を購入して不測の損害を被ることを防ぐこと(千葉県)にあると説明されています。不動産取引の安全のために公開されている書類であり、物件調査での活用は制度趣旨にそのまま沿った使い方です。

閲覧の窓口となる「特定行政庁」とは、建築主事または建築副主事を置く市区町村ではその市区町村の長、それ以外の区域では都道府県知事を指します(建築基準法2条35号)。ただし同号には、政令で指定する建築物については都道府県知事とする旨のただし書があり、後述する東京23区の面積による分担はこの規定にもとづくものです。全国に440あり(令和8年4月1日現在・全国建築審査会協議会調べ)、手続・手数料・対応範囲はこの特定行政庁ごとに異なります

閲覧できるのは概要書だけではない

建築基準法施行規則11条の3第1項は、閲覧に供すべき書類を8種類に限定して列挙しています。実務で使うのは主に次の3つです。

  • 建築計画概要書(別記第三号様式) — 建築主側が確認申請時に提出する計画の概要
  • 処分等概要書(別記第三十七号様式) — 特定行政庁が処分の都度記録するもの。正式名称は「建築基準法令による処分等の概要書」
  • 全体計画概要書 — 段階的に工事を行う計画のもの

そして同条2項は、これらの書類を「当該建築物が滅失し、又は除却されるまで」閲覧に供さなければならないと定めています。ただし後述するとおり、この保存義務が現在の形になったのは平成11年5月1日の改正以降で、それ以前の分は自治体によって残っていたり廃棄されていたりします。

また同条3項は、特定行政庁が閲覧に関する規程を定めて告示することを求めています。手数料や運用が自治体ごとに違うのは、法令がそれを各特定行政庁に委ねているためです。

「建築概要書」「建物概要書」との関係

検索や現場では複数の呼び方が混在しています。整理すると次のとおりです。

呼び方建築計画概要書との関係
建築概要書概要書同じものを指す略称・俗称。渋谷区が「概要書の写し交付手数料」と表記するなど、自治体も略称を使う
建築計画等概要書概要書に築造計画概要書・定期報告概要書を含めた総称。大田区の公式ページ名がこの表記
建物概要書公的な書類名としては存在しない。販売図面や建物仕様書を指して使われる場合もある
工事概要書まったくの別物。公共工事などで用いる書式で、建築基準法とは無関係
処分等概要書別の書類(別記第三十七号様式)。確認済証・検査済証の番号が載るのはこちら

記載内容 — 3面構成で「どう確認を通したか」が分かる

様式は全国共通で、建築基準法施行規則の別記第三号様式として定められています。次の3面で構成されます。

記載内容
第一面
建築主等の概要
建築主、代理者、設計者(構造設計一級・設備設計一級建築士の表示欄を含む)、工事監理者、工事施工者の氏名・名称・住所
第二面
建築物及びその敷地に関する事項
地名地番、住居表示、都市計画区域等の内外の別、防火地域、道路(幅員・接道長さ)、敷地面積、用途地域、容積率・建蔽率、主要用途、工事種別、建築面積、延べ面積、建築物の数、階数、構造、建築物の高さ、許可・認定等、工事着手予定年月日、工事完了予定年月日、特定工程工事終了予定年月日ほか
第三面
付近見取図・配置図
方位・道路・目標となる地物を示した付近見取図と、縮尺・方位・敷地境界線・敷地内の建築物の位置・接する道路の位置と幅員を示した配置図

平面図や立面図といった詳細図面は含まれません。それでも調査で価値が高いのは、確認申請の時点でどのような敷地設定・接道の取り方で審査を通したかが第三面の配置図から読み取れる点です。

ここで押さえておきたいのが、現行の様式には確認済証番号も検査済証番号も記載欄がないことです。日付の欄は工事着手・工事完了・特定工程工事終了のいずれも「予定」年月日であって、実績ではありません。つまり建築計画概要書だけを見ても、検査済証が交付されたかどうかは分かりません。それが分かるのは処分等概要書のほうです。北九州市はこの役割分担を公式サイトで明確に書き分けています。

台帳記載事項証明書との違い — 図面が出るか出ないか

実務で最も混同されるのが、建築計画概要書と台帳記載事項証明書です。両者は法的な位置づけからして異なります。

建築計画概要書台帳記載事項証明書
法的根拠建築基準法93条の2+施行規則11条の3。閲覧させる義務が法定法12条8項に台帳の整備・保存義務はあるが、証明書を交付する制度は建築基準法にない。各自治体の要綱等による行政サービス
請求できる人誰でも自治体により限定。名古屋市は建築主または現所有者に限り、代理人は委任状が必要
図面あり(第三面の付近見取図・配置図)なし
主な用途計画内容・配置・敷地条件の確認確認済証・検査済証の交付記録の証明

図面の有無は自治体ごとの運用差ではなく、台帳の記載事項の定めから導かれる結果です。施行規則6条の3第1項1号イは、台帳に記載すべき事項を「建築計画概要書(第三面を除く)、定期調査報告概要書、処分等概要書、全体計画概要書に記載すべき事項」と定めています。台帳にはそもそも第三面が取り込まれないため、台帳をもとにした証明書から配置図が出ることはありません。敷地の形状や接道の取り方を確認したいなら、概要書の閲覧が必須です。

「検査済証の代わりになる」は正確ではない

台帳記載事項証明書は、検査済証の再交付ではありません。山口県は「一度交付した証書の再交付は行うことができません…証書の再交付に代えて」と説明し、大阪府も「台帳記載がある場合及び内容に限って、証書発行を行うことができます」としています。台帳に記録が残っている範囲での事実証明であり、完了検査を受けていない建物には出ませんし、台帳が現存しない年代にも出ません。

古い物件では、証明のほうが遡れることがある

意外に知られていませんが、概要書と台帳証明では遡れる年代が逆転する自治体があります

  • 世田谷区 — 概要書は概ね昭和54年度以降だが、台帳証明は昭和30年以降を検索可能
  • 名古屋市 — 令和8年7月1日から台帳証明の対象が平成4年4月1日以降に拡大され、様式も1枚に統合。概要書(平成8年4月以降)より古い年代まで遡れる
  • 大阪市 — 昭和25〜47年度は概要書がなく、台帳記載事項証明のみ
  • 北九州市 — 概要書は昭和60年度以降だが、建築証明は昭和30年度以降

古い物件で「概要書がない」と言われたときに、記録そのものがないと判断するのは早計です。証明側に切り替えれば確認できる場合があります。逆に北九州市では、指定確認検査機関が確認した物件について証明を発行できない一方で閲覧はできると明記されています。新しめの民間確認物件では、逆向きの切り替えが必要になる場合があります。

物件調査での使いどころ

  • 再建築可否の検討 — 確認申請時の敷地設定・接道の取り方を配置図で確認し、現在の敷地と比較する
  • 違反建築・未確認の増改築の発見 — 概要書の面積・階数を登記記録や現況と突合する
  • 連棟・共同住宅の敷地の切り方 — 隣接建物と敷地を共有・分割した経緯を把握する
  • 重要事項説明の裏付け — 敷地条件・接道・配置の根拠資料として。ただし確認済証番号・検査済証番号は概要書には載らないため、番号の裏付けが要る場合は処分等概要書や台帳記載事項証明書を併用する。詳細は重要事項説明書の作成手順を参照

取得方法 — 窓口・手数料・必要な情報

閲覧と写しの交付の窓口は、物件所在地を所管する特定行政庁です。民間の指定確認検査機関が確認した物件も、確認審査報告書とともに概要書が特定行政庁に提出される仕組みのため(建築基準法6条の2第5項)、同じ窓口で閲覧できます

窓口に行く前に揃えておく4点

  • 所管の特定行政庁はどこか — 都道府県所管分と市区町村所管分で窓口が分かれる場合があります
  • 検索キーは地番か住居表示か — 自治体によって真逆です(後述)
  • 建築時期・建築主名 — 物件特定の補助情報として有効
  • 電子閲覧の対象か — 対象なら来庁が不要になる場合があります

東京23区は「10,000㎡」で都と区に分かれる

特別区では、建築基準法施行令149条1項により、次のものが東京都の所管となります。

  • 延べ面積が10,000㎡を超える建築物
  • 卸売市場・と畜場・産業廃棄物処理施設など、都知事の許可を要する建築物
  • 上記に附属する工作物・昇降機

それ以外は区の所管です。ただし閲覧の窓口は「確認を受けた当時」の所管で決まります。過去の閾値は現在と異なるため、古い物件では年度による判定が必要です。品川区が公表している区分が参考になります。

確認年度東京都が所管した範囲
昭和25〜39年度木造住宅の一部を除く全建築物
昭和40〜49年度昇降機が付属する建築物
昭和50〜平成11年度延べ5,000㎡超で昇降機が付属するもの
平成12年度以降延べ10,000㎡超

昭和40〜49年度はエレベーターの有無で窓口が変わるため、注意が必要です。さらに千代田区は、平成8年1月1日から平成12年3月31日までに確認を受けた延べ5,000㎡超〜1万㎡以下の物件について、都区の事務移管に伴う輸送過程で紛失したものがあると公表しています。所管が動いた年代がそのまま欠落しやすい帯になっています。

主要自治体の対応状況一覧

ここからが実務の本題です。同じ法定書類でありながら、手数料も保存起点もオンライン対応も自治体ごとに異なります。検索需要の大きい12の特定行政庁について、公式サイトで確認できた内容をまとめました(2026年8月時点)。自治体名から各公式ページに移動できます。手数料や対応状況は改定されることがあるため、請求前に最新の案内をご確認ください。

自治体写しの手数料保存起点オンライン閲覧検索キー
東京都(都所管)オンラインDLは無料
窓口印刷10円/ページ
平成11年度〜あり(令和6年3月〜)
※第三面は対象外
千代田区10円/枚
(表裏で20円)
昭和46年1月〜なし
(有無のメール照会は可)
中央区10円/枚(片面)平成元年4月〜なし住居表示
品川区300円/部昭和46年度〜なし(庁内端末のみ)住居表示
大田区300円/件昭和46年度〜なし(庁内端末のみ)住居表示
世田谷区100円/通概ね昭和54年度〜確認できず
横浜市白黒20円/枚・カラー60円/枚
(2026年8月3日改定)
昭和46年1月〜あり(令和4年9月〜)
※1人1日50件まで
京都市窓口の複写300円/件
電子閲覧の印刷は無料
昭和52年4月〜あり(令和8年3月〜)
※当面は平成11年度以降
大阪市250円/件昭和48年4月〜交付申請のみ
名古屋市確認できず平成8年4月〜なし地番
堺市200円/通昭和46年1月〜交付申請のみ地番
北九州市交付不可
(撮影も不可)
昭和60年度〜なし地番

閲覧そのものは、確認できた範囲ではいずれの自治体でも無料です。差が出るのは写しの交付から先になります。

なお保存起点は「これ以降なら必ずある」という意味ではありません。千代田区は昭和46年1月から平成11年4月30日までの確認分について、当時は5年保存としていたため欠落があるとし、大田区も「平成11年までの建築物については概要書の保管がなく見当たらないものもある」としています。世田谷区は昭和49年度以前を保管していません。起点はあくまで検索対象の下限と捉えてください。

この表から読み取れる5つの落とし穴

1. 手数料は30倍差、しかも単位が揃わない
10円から300円まで開きがあるうえ、課金の単位が「通」「件」「枚」「部」とばらばらです。「1枚10円」の自治体でも両面コピーなら20円になります。件数の多い調査では、事前に単位を確認しないと費用の見積もりが立ちません。

2. 保存起点が28年ぶれる
最も古いのは昭和46年(制度の発足時)、最も新しいのは東京都の平成11年度で、名古屋市の平成8年4月がこれに次ぎます。同じ築年の建物でも、所在地によって概要書があるかないかが変わります。東京都は「保存年限経過により廃棄済」と明記しています。

3. 事前に電話で確認できるかが正反対
千代田区はエクセル様式でのメール照会に応じています(5箇所以内程度)。一方、品川区・大田区は電話・FAX・メールでの照会に応じておらず、北九州市も電話・FAX・郵便による確認済証の有無の問い合わせには原則対応しないとしています。とくに大阪市は確認済証番号が不明だと申請自体を受け付けず、番号を調べるには原則として来庁が必要です(令和4・5年度の物件に限り地図情報サイトで調べられます)。

4. 検索キーが地番と住居表示で割れる
中央区は「地番は区で把握しておりません」として住居表示が必須です。反対に堺市は「住所での検索はできません。建築確認申請については地番で行っています」としています。用意すべき資料が住宅地図か登記事項証明書かで変わるため、隣接自治体をまたぐ調査では事前確認が要ります。

5. 大量の閲覧・営利目的の利用には制限がある
横浜市のWeb閲覧システムは「事業者としての登録は出来ません。必ず【個人として登録する】からご登録をお願いします」と明記し、1人1日50件までの制限があります。京都市の要領も著しく大量の閲覧や営利目的を制限事由としており、名古屋市・北九州市も営利目的の閲覧を断っています。不動産調査という業務での一括利用は、多くの自治体で制度の想定外です。

オンライン閲覧の現在地 — 「対応済み」の中身が違う

登記事項証明書のような全国一律のオンライン取得の仕組みは、建築計画概要書には存在しません。一部の特定行政庁が独自にシステムを導入している段階です。

ここで注意したいのが、「オンライン対応」と呼ばれるものの中身が3種類あることです。

タイプ実際にできること該当
自宅から本体を閲覧利用者登録のうえ、来庁せずに概要書を閲覧・印刷できる東京都・横浜市・京都市の3自治体のみ
交付申請のみオンライン申請はオンラインだが、書類は郵送で届く大阪市・堺市
庁内セルフ端末来庁が前提。窓口の混雑緩和が目的品川区・大田区・京都市・堺市

本当に来庁が不要になるのは1つ目だけです。各システムの概要は次のとおりです。

  • 東京都「建築計画概要書等電子閲覧システム」(令和6年3月26日運用開始) — 利用者登録制。閲覧・ダウンロードは無料。23区内の対象は平成11年度が延床5,000㎡超かつ昇降機付属、平成12年度以降が延床10,000㎡超の2段構え。多摩地域は平成11年5月1日以降に確認を受けた建築物(ただし建築主事を置く市は各市が特定行政庁)、島しょ地域は平成11年度以降が対象。検索キーは確認申請当時の地名地番で、住居表示では引けません
  • 横浜市「建築計画概要書等Web閲覧システム」(令和4年9月運用開始) — 本人確認書類による個人単位の登録が必要。稼働は7時〜24時、1人1日50件まで。対象は昭和46年1月以降
  • 京都市「建築計画概要書等電子閲覧システム」(令和8年3月25日運用開始) — 登録制、閲覧・印刷は無料。当面の対象は平成11年度〜令和6年度分で、それ以前の分についても対象を順次拡大する予定とされています。平成10年度以前については、現時点では窓口の閲覧システム・紙台帳での対応が案内されています

図面まで出るかはシステムによって違う

電子閲覧といっても、第三面(付近見取図・配置図)まで見られるかはシステムごとに異なります。

東京都は第三面が対象外です。「建築計画概要書のうち付近見取図及び配置図については、システム上で閲覧することができません」と明記されており、図面を見るには従来どおり来庁して原本を閲覧する必要があります。印影と個人建築主の郵便番号・住所も除かれます。

一方、京都市は第三面まで閲覧・印刷できます。公式マニュアルでは選択できる書類として「建築計画概要書(1〜3面)」が示されており、平成7年度以降であれば処分の概要書もあわせて取得できます。横浜市については面単位の記載が公式サイトで確認できなかったため、利用前に個別の確認が必要です。

調査で本当に見たいのは配置図であることが多いため、使おうとしているシステムが第三面に対応しているかは、事前に確かめておく価値があります

「概要書がない」主なケースと理由

窓口で「該当なし」と言われる場合、理由は大きく3つに分かれます。どれに当たるかで次の一手が変わります。

ケース理由次の一手
昭和45年12月31日以前の確認閲覧制度が昭和46年1月1日施行の建築基準法改正で発足したとされ(千代田区の公表による)、それ以前の確認には存在しない台帳記載事項証明書に切り替える
保存年限の経過による廃棄「滅失・除却まで保存」となったのは平成11年5月1日施行の改正以降。それ以前は保存年限に全国統一の定めがなく、5年保存としていた特定行政庁もある(千代田区の公表による)同上。ただし台帳側も残っていない場合がある
無確認建築確認申請を経ずに建てられた建物には当然存在しない登記記録・現況調査で実態を確認する

2つ目は自治体差が大きいところです。千代田区は取得できない類型を公式に明示しており、東京都も「平成10年度以前の建築計画概要書はありません(保存年限経過により廃棄済)」と書いています。現在の規則が「滅失・除却まで」と定めていても、改正前の運用で廃棄された分は戻りません。何年分が残っているかは、結局のところ特定行政庁ごとの当時の運用によります。

概要書が取れないときの代替手段

概要書が存在しない、または残っていない場合は、次の資料を組み合わせて補完するのが実務の定石です。

  • 台帳記載事項証明書 — 確認・完了検査の履歴。台帳は概要書とは別に保存されているため、概要書が廃棄済でも履歴を確認できる場合がある
  • 登記事項証明書・建物図面 — 建物の物理的現況と権利関係
  • 公図地積測量図 — 敷地の形状と境界
  • 固定資産課税台帳の情報 — 課税上把握されている建物の情報

調査全体の流れのなかでの位置づけは、不動産調査の基本フロー役所調査・現地調査の型化もあわせてご覧ください。

取得代行という選択肢

ここまで見てきたとおり、建築計画概要書の取得は「物件ごとに所管の特定行政庁を調べ、その自治体のルールを確認し、多くの場合は窓口に出向く」という手順を踏みます。1件だけならさほどの負担ではありませんが、複数エリアにまたがる調査では、自治体ごとの調べ物そのものがコストになります。

とくに負担が重くなるのは次のような場面です。

  • 営業エリア外の物件を扱う — 検索キーが地番か住居表示か、電話照会に応じるかどうかから調べ直しになる
  • 複数物件をまとめて調べる — 大量の閲覧や営利目的の利用を制限する自治体があり、1日の閲覧件数に上限がある場合もある
  • 配置図まで必要 — 電子閲覧の対象でも第三面は出ないため、結局は来庁が必要になる

こうした調べ物と移動を切り出す方法として、取得代行の活用があります。TRUSTARTのリアシストは、住所または地番だけで全国の役所書類・法務局書類をオンラインから取得代行するサービスです(離島・北海道の一部を除く)。建築計画概要書・台帳記載事項証明書のほか、登記簿謄本・公図・地積測量図といった法務局書類、道路台帳・都市計画図もまとめて依頼できます。

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まとめ

建築計画概要書は、建築確認の内容を誰でも確認できる不動産調査の基本書類です。押さえておきたい要点は次の5つです。

  • 閲覧は誰でも・無料。建築基準法93条の2により、特定行政庁には閲覧させる義務がある。利害関係も委任状も不要。
  • 検査済証の有無は概要書では分からない。現行様式に確認済証番号・検査済証番号の欄はなく、それが載るのは処分等概要書。
  • 台帳記載事項証明書では図面が出ない。施行規則6条の3により、台帳には第三面が取り込まれないため。配置図が必要なら概要書の閲覧が必須。
  • 古い物件では証明側が遡れることがある。世田谷区・大阪市・北九州市のように、概要書より台帳証明のほうが古い年代まで確認できる自治体がある。
  • 自治体差が大きい。手数料は10円〜300円で単位もばらばら、保存起点は28年の幅。本記事で調べた12自治体のうち、自宅から閲覧できるのは3つだけ。

調査対象が複数のエリアにまたがるなら、自治体ごとのルールを毎回調べ直すのか、取得を外部に切り出すのかを含めて、調査体制そのものを設計しておくことをおすすめします。

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参考(一次情報)

本記事の記述は、以下の法令および各特定行政庁の公式情報を確認のうえ作成しています(2026年7月時点)。

  • 建築基準法 第93条の2(書類の閲覧)/第12条8項(台帳の整備・保存)/第2条35号(特定行政庁)/第6条の2第5項(指定確認検査機関の確認審査報告書)/建築基準法施行令 第149条1項(特別区の特例)
  • 建築基準法の一部を改正する法律(昭和45年法律第109号。93条の2を新設、施行日は昭和46年1月1日 — 建築基準法施行令 附則(昭和45年政令第333号)による)/同(平成10年法律第100号。93条の2を全部改正、平成11年5月1日施行)/建築基準法施行規則 附則(平成11年建設省令第14号)
  • 建築基準法施行規則 第11条の3(閲覧の対象書類・保存・閲覧規程)/第6条の3第1項1号イ(台帳の記載事項。建築計画概要書の第三面を除く旨)/別記第三号様式(建築計画概要書)/別記第三十七号様式(建築基準法令による処分等の概要書)
  • 全国建築審査会協議会「特定行政庁一覧」(令和8年4月1日現在 440庁)
  • 各特定行政庁の公式サイト — 東京都都市整備局、千代田区、中央区、品川区、大田区、世田谷区、横浜市、京都市、大阪市、名古屋市、堺市、北九州市、大阪府、千葉県、福岡県、山口県、渋谷区

※手数料・保存起点・オンライン対応の状況は2026年8月時点で各自治体の公式サイトに掲載されていた情報です。制度は随時変更されます(例:横浜市は2026年8月3日にコピー代を改定済み。京都市は電子閲覧の対象を順次拡大する予定)。名古屋市の写し交付手数料、北九州市の閲覧手数料、横浜市・京都市における第三面の電子閲覧の可否など、公式サイトで確認できなかった項目は「確認できず」と記載しています。実際の請求前には、必ず所管の特定行政庁にご確認ください。

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